健常者にとっては、ちょっとした庭の中で飛び石の上を歩くのも、少しぐらいの階段があろうとも、住宅内で廊下の面よりも畳の部屋の面の方が少し高くても、これらは日本の文化であって各個々人の嗜好であり心が休まる場所なのかもしれない。これから、そのような構造の家屋を建てようと思っておられる方もおられるでしょう。小生もできることなら庭の飛び石の上を歩きながら木々によって季節の移り変わりを感じたり、少しぐらいの階段や段差があっても情緒豊かな日本文化がある家で過ごしたいと思っていました。

 しかしながら、事故にあい車椅子ユーザーとなって、飛び石・階段・段差や狭いスペースの中では移動できず、それは自分自身が動いて生活できないということであります。食事にしても、排泄にしても、外に出るにしても、そこに自分の意思でというより自分以外の者の都合によって決められることもしばしばでありました。

 皆さん、自分の行動が自分自身で決められない場合のことを考えてみてください。そこに「生きがい」というものを見つけることができるでしょうか。

 もし「生きがい」を見つけることが出来る方がいるとしたら、その方は本当に精神的に強い方であろうと想像します。しかし、小生も含めて、多くの人は精神的に強い者ばかりではないと思っております。

 ですから、自分自身で決定したことを自分自身で実行できる喜びを感じることがとても大切なことだと思っています。

 また、高齢者が増え続けるなか少子化で、介護の問題も深刻化して来ましたが、介護する者にとってみても家の一階をすべてを平面化すること、すべてでなくても当事者が移動する場所だけでも段差をなくすることで、介護機器などを利用した時に介護が大変し易くなると想像しています。

 住環境の問題点を整備することで、当事者(高齢者・障害者)が移動し易く「生きがい」を持って生活できるように、そして介護者が介護し易いよう「介護疲れ」で倒れたりしないように、住環境を整備することが必要であろうと思っております。

 このコーナーでは、住宅構造の問題点と整備の仕方、介護保険などの制度との関連を述べて行きたいと思っています。  

日本における住環境の現状 / 福祉住環境コーディネーター / 住環境の整備について

介護保険制度と住生活との関係 / 町角のバリアフリーの意識 / 住環境についての質問コーナー