町角のバリアフリーの意識

19) 興陽高校のバリアフリー庭園 PartU 

 平成15年度のバリアフリー庭園「四季を彩る庭」を山陽学園短期大学「キャリアデザイン学科」の澁谷俊彦教授のご紹介で興陽高校のバリアフリー庭園を知ったという経緯から、平成16年度のバリアフリー庭園も施工の段階から澁谷教授とともに見学させていただきました。

 造園デザイン科の生徒さん達の活動を興陽高校のHPで拝見しますと、このバリアフリー庭園と並行して平成16年10月には「全国産業教育フェアー広島大会」で「水琴窟のある坪庭」、11月には「まきび」や「下水道公社」にての屋外授業、12月に「シーサイドクリスマス」(玉野)、そして平成17年1月には台湾での「日本庭園作庭」と海外まで活動範囲が広がり大変活発なようすがうかがえます。
 しかしながら、この区画のバリアフリー庭園が平成15年度の施工の進みぐあいと比較して遅れているようなので卒業までにできあがるだろうかと少々心配しておりました。

 平成17年1月28日に見学に行った際には大変素晴らしいバリアフリー庭園ができあがっており、施工中の様子を見ていただけに感慨深いものがありました。

 中野功先生が、ここの小川(正確には、細長い池)のせせらぎ(浅瀬を流れる水の音)を視覚障がい者の方にも聴いて楽しんでいただきたいとおっしゃっていました。ここを訪れる高齢者、障がい者、子供さんそして健常者の方々、皆さんに楽しんでもらえる庭園だと思っております。

 どうぞ皆さんもぜひ庭園内を散歩してみてください。

岡山県立興陽高等学校
  住 所 : 岡山県岡山市藤田1500
  電 話 : 086-296-2268(代表)
  URL  : http://www.koyohigh.okayama-c.ed.jp/

 「造園デザイン科 三年生 庭園施工管理類型 19名
 (造園デザイン科長 中野功先生、大山佳吾先生、田中賢造先生、日下弘明先生、尾畑篤司先生

山陽学園短期大学
  住 所 : 岡山市平井1−14−1
  電 話 : 086-272-6254(代表)
  FAX  : 086-273-3226
  URL  : http://www.sguc.ac.jp/

 「キャリアデザイン学科」(澁谷俊彦教授 倉敷市伝統的建造物群等保存審議会委員)

 

「流れのある庭」

平成17年 1月 28日 撮影 

A、通路側から撮影 B、展望側から撮影
C、入り口 D、スロープAコース E、石橋と手すり F、スロープBコース

施工代表者:上田百年(造園デザイン科三年生)他 造園デザイン科三年生 18名(平成16年度) 

 概要と感想

 上写真A、Bを見て分るように、平成16年度のバリアフリー庭園は「水の流れ」をメインとしているわけですが、一般的には身体能力の低下した高齢者、障がい者、子供さんなどと水との関係は大変難しいものがあると思っています。

 例えば、車いすなどでは砂浜が障壁となって海水に近づくことは困難ですし、川の傍まで容易に近づくことができなかったり、もしも近づくことができたとしてもこんどは転倒や転落の事故に気をつけなければなりません。

 屋外で高齢者、障がい者、子供さんなどと水との関係が大変難しい反面、小川の流れを近くで見てみたい、そしてその音を聴いてみたい、水に触れて遊んでみたいと欲している人が多くいるのではないかと思っております。そういった意味でこの区画のバリアフリー庭園は、「水の流れ(せせらぎの音)」という特長があり、車いす利用者にも視覚障害のある方にも楽しめる庭園になっていると思います。

 水のある場所に高齢者、障がい者、子供さんが近づいている時には、介助する人や子供の親御さんそして周りの大人が気をつけて見守ってあげて欲しいと願っております。
 
○庭園内のスロープの勾配と測定について

 私自身車いすで庭園内を走らせてみました。

 その時にスロープの勾配(岡山地方振興局の方が考案された「スロープ勾配測定定規」を使用)を女生徒の神崎さんに、計測のほうを水岡さんに手伝ってもらいました。

 左上写真Cの入り口から入ったのですが、入り口のスロープの幅約120cmで勾配1/15以下でした。中央上写真DのスロープAコースから中央上写真Eの石橋の前を過ぎて写真奥の展望側から右上写真FのスロープBコースを下ってきたわけですが、部分的に1/12前後の勾配はあったにせよほとんどが1/15以下になっており、通路幅も右上写真Fに見るように手前にあるポンプを隠すために設置してある箱のところで有効幅員約90cm、石橋の有効幅員約90cmを除いては車いすが走行するのに十分な幅員がありました。

 フラットになった踊場も左上写真Cのスロープを上りきったヶ所と中央上写真Dのヶ所と石橋の両側そして展望側に、計5ヶ所あります。

 中央上写真Dの階段ですが、蹴上げ(階段の各段の踏み高さのこと)が約7cmとなっており、脚力の弱った(身体能力が低下した)高齢者にも十分対応していると感じています。

○施工代表者の話
 
 施工代表者の上田百年君に施工について苦労した点や工夫した点を尋ねたところ、下の施工中の写真を見て分るとおり、県庁前にあった(元)丸の内中学校で花壇に使用していた石を中央に並べて石橋としてこのバリアフリー庭園で使用することとなったので、その石の厚みが庭園内でより高低差を生むこととなり、この高低差をゆるやかな勾配にしていくにはどうしたら良いかに悩んだようです。

 スロープについては、途中に休める平坦な場所を設けることでゆるやかな勾配となるように工夫したとのこと。車いすが走行しやすいようにインターロッキングにし、バリアフリー庭園を目指しながら日本庭園の良さを引き出したいと、左上写真Cの石積みや中央上写真Eのように石橋のところでは車いす利用者の転落防止のための手すりと下部にはキャスター止めを「竹」でつくったとのこと。

 また、庭園内の通路から車いすが出て転倒しないように、左上写真Cや右上写真Fに見るように「木」を埋め込むことによってキャスター(車いす前輪の小さな車輪)止めとした。バリアフリーであるとともに地球にやさしく落ち着いた景観の良い庭園を目指したとのことです。

木々について

 木々について、田中先生にお話を伺ったところ、女生徒の案で「木のトンネル」をつくりたいとのことで展望側に木を配置したとのことです。そして「黄葉」「紅葉」が楽しめるようにもなっているとのこと。

 現在、冬で写真で分りますように木々は閑散としておりますが、春から秋にかけてどのように素晴らしい庭園の姿になるかが今から楽しみであります。

 

平成16年 12月 7日 撮影 

G、入り口 H、地固め I、スロープ J、澁谷俊彦教授

 概要と感想

 土を沢山入れて庭園らしくなってきました。後は通路をインターロッキングにしたいということですが、スロープの勾配をどのようにしたらゆるやかになるかが課題のようです。

 中央上写真Hのように生徒さんが地固めした後、庭園内を、左上写真Gの入り口から入り、中央上写真H、Iの場所を車いすで動いてみました。乾燥していない土の上を車いすで動くと勾配も手伝って非常に重く腕力がいるように感じました。

 右上写真Jは、生徒さん達の前でアドバイスをしている澁谷俊彦教授ですが、前回の澁谷教授のアドバイスから、上写真G、Hで分るように石垣になっておりました。

 

平成16年 10月 22日 撮影 

K、中野功教諭 L、施工中 M、打ち合わせ中

 概要と感想

 「川」にかける橋として、県庁(岡山県)の真向かいにありました(元)丸の内中学校で花壇に使用していた石を「石橋」として利用することは決まっているようでしたが、通路については石の厚みがありますから、その厚みと全体的な庭園内のスロープの勾配をどのようにしてゆるやかにしようかと思案中の中野先生(左上写真K)であります。

 中央上写真Lの施工中の様子を見て、なんとも急な勾配になっていると感じたものです。

 右上写真Mは、中野先生(左)と田中先生(右)で打ち合わせ中のようです。 

 平成17年 1月下旬 現在

 

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平成18年度「和楽(からく)の庭」 / 平成19年度「見本庭園のバリアフリー化」 / 平成20年度「干拓地の生き物を知る

平成21年度「万葉の小径(まんようのこみち)」 / 平成22年度「まくあいのこかげ」 / 平成23年度「50周年記念庭園のバリアフリー化

平成24年度「50周年記念庭園のバリアフリー化パート2」 / 平成25年度「LINK〜時を刻む〜」 / 平成26年度「香楽園(こうらくえん)」 

平成27年度「鳥達の集う滝」「クジラの庭のスロープ」

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