町角のバリアフリーの意識

24) 興陽高校のバリアフリー庭園  PartW

「和楽(からく)の庭」 

平成19年 2月 3日 撮影 

A、和楽の庭(入口から撮影) B、和楽の庭(奥から撮影)

代表者:三宅健次
他 造園デザイン科三年生 21名(平成18年度)

概要と感想 

 平成15年度のバリアフリー庭園「四季を彩る庭」、平成16年度の「流れのある庭」、平成17年度のバリアフリー展望台「友集の丘(ゆうしゅうのおか)」は何もないところから作庭を始めましたが、今年度(平成18年度)は盆栽置場の用途を残しながら高齢者・車いす利用者他にもアクセスできるようにしていくということで、考えようによっては前者がユニバーサルデザインの庭園づくりで、後者がバリアフリー庭園の作庭と位置付ける人もいるでしょうが、私はどちらもバリアフリー庭園の作庭であると考えております。

 私はバリアフリーとは、相手に対しての気遣いであったり思いやること、相手のことを考えることであると思っており、高齢者・身体に障がいを持っている方などに対してのみに使う言葉ではなく、健常者同士においても気遣うことは大切であり、おおよそ人と人との関係及び社会全般においてバリア(障壁)をフリー(なくする)にするという考えは重要であると思っております。また、使用者に対する気遣いや思いやりを考えていった場合に、ユニバーサルデザインの7原則も当然考えられるべきことであると思っています。

 「バリアフリーについての私の考え方」はこちらのページを見てください。

 さて、私にとっては四つ目のバリアフリー庭園ということになります。山陽学園短期大学「キャリアデザイン学科」の澁谷俊彦教授とともに見学させていただきました。

 今回のバリアフリー庭園「和楽(からく)の庭」は、屋外でのバリアフリー庭園の実習授業としては6つ目となります。左上写真Aは入口から撮影したもので、通路幅とパーゴラの様子が分ると思います。今年度は「盆栽置場」だった場所をその用途を残しながら、高齢者や車いす利用者などがこの場所で楽しめる庭園にすることと、隣の日本家屋への通路を確保して次年度に繋げていく目的も持っています。盆栽や藤の鉢はあるが、大きな樹木は「スモークツリー」だけというのも特色であります。

 右上写真Bは奥の方から撮影したものですが、パーゴラと二つの長いすの位置が分ると思います。バリアフリー庭園全体を一つの庭園として考えた場合、パーゴラと二つの長いすがある空間が憩いの場として、他のバリアフリー庭園とは異なり、また違った雰囲気を楽しめる場所になっていると感じております。

 盆栽・藤・石畳・石垣などの和の文化を楽しみながら、パーゴラのもとに集ってほしいという意味をこめて「和楽(からく)の庭」と名づけたとのことです。

 また、前回までのどのバリアフリー庭園を観ても、灯篭、竹垣、石垣、乱杭(木製のキャスター止め)、石の橋などどこかに日本庭園の雰囲気を感じさせてくれます。この庭園も日本庭園がベースになっているのではないかと思わせるところがあります。
 
 例えば石畳であります。矢掛石・万成石・妹尾の石・豊島の石などそれぞれに特徴のある石が使用されているのですが、見えている石の面にはそれぞれに違う表情があり、それぞれ石の顔があるように感じるのであります。
 
 石は日本庭園の重要な要素であると思いますが、種類の違う比較的大きな石を用いて敷き詰めているのですから、このバリアフリー庭園の石畳をとても興味深く眺めてしまうのです。石垣や石畳などの日本庭園の風味と、通路はインターロッキングブロック仕上げにしていて、バリアフリーとをうまく融合させたオリジナルな庭園であると感じております。

 どうぞ皆さんもぜひバリアフリー庭園内を散歩してみてください。(但し、散策する前に、興陽高校にご連絡ください。)

岡山県立興陽高等学校
  住 所 : 岡山県岡山市藤田1500
  電 話 : 086-296-2268(代表)
  URL  : http://www.koyohigh.okayama-c.ed.jp/

 「造園デザイン科 三年生 庭園施工管理類型 21名
 (造園デザイン科 科長 中野功先生、田中賢造先生、日下弘明先生、大山桂吾先生、片山大助先生

山陽学園短期大学
  住 所 : 岡山市平井1−14−1
  電 話 : 086-272-6254(代表)
  FAX  : 086-273-3226
  URL  : http://www.sguc.ac.jp/

 「キャリアデザイン学科」(澁谷俊彦教授 倉敷市伝統的建造物群等保存審議会委員)

 

平成19年 2月 2日 撮影 

C、スロープ D、根上り松 E、藤

 概要と感想

 この日は三年生の期末試験の最後の日で、バリアフリー庭園の作庭としての授業ではないのですが、生徒さん達が残っていてくれてバリアフリー庭園のなかで感想を話してくれました。

 石を敷き詰められないでいた夏前にはほんとうに庭園が完成するのだろうかと不安であったが、今こうしてここに立って庭園を眺めてみると達成感で満たされているという感想を皆が持っていました。

 他校の友人に、バリアフリー庭園を作庭していると自慢した。とかの感想とともに、インターロッキングブロックを敷き詰めた後に、先生からやり直しを告げられ最初から下地やブロックを敷き詰め直したという苦い経験も話してくれました。長いスロープの場合、その途中にフラットなスペースも必要であるということを忘れていたようだ。長く残る庭園ですから、車いす利用者としては気が付いて整備してくれて良かったと思っております。

 328uの庭園のなかには、インターロッキングブロックの通路とその両側に盆栽と藤の鉢があり、庭園の中央にパーゴラがあります。左上写真Cのように、スロープと庭園の奥には盆栽を土に戻せるスペースがあります。中央上写真Dは、土がついたままの松を土の上に置き、そのままにしておくと土がなくなり根が宙に浮いたかたちとなる「根上り松」となるそうです。

 右上写真Eで分るように、青い鉢のなかに植えられているのが「」であります。左上写真Cのスロープは、スロープ勾配簡易測定定規(岡山地方振興局の方が考案)で生徒さんが測定したところ、部分的に1/12のところはあるが大方ゆるやかな1/15以下でありました。

 また、この庭園の特徴として、産地の違う比較的大きな御影石(花崗岩)を使って石畳としているところであります。

 左下写真Fは岡山県の矢掛の石でありますが、「青みかげ」というもので色は青みをおびた黒色であります。中央下写真は万成石で、よく観ると少しピンクがかっているのが分ります。故石原裕次郎さんの石碑(五輪塔)は万成石で建てられているということです。右下写真Hは香川県の小豆島の豊島石でありますが、やわらかく黒色で灯篭などに用いられています。京都の桂離宮や二条城に用いられているということです。

 それぞれの石は特徴があり違う表情・顔を見せています。なんと贅沢な使い方をしている石畳ではないかと感じてしまう。雨が降り四季の風が石に当たり、何年かするとより味のある石の表情を見せてくれるのではないかと想像しております。

F、矢掛の青みかげ G、万成石 H、豊島の石

 

 

平成19年 1月 23日 撮影 

I、下地のレベル出し作業 J、澁谷教授と生徒さん達 K、端あわせの水糸 L、スイカズラ(忍冬)の鉢

 代表者 (三宅健次)の話
 プランに関しては、盆栽置場であった場所をバリアフリー庭園にするために、この空間をどのようにするか各生徒さん達がプランを描いてプレゼンテーションのかたちをとって皆で考えたとのことである。なかでも大きなテーマである、盆栽置場としての用途を残しながら、高齢者や車いす利用者等がこの場所に入って楽しめること、隣の日本家屋への通路を確保して次年度へ繋げて行きたいという3つを考えたとのことだ。

 施工に関しては、国際蘭展「蘭おかやま 2006」が終わってから本格的に作業に入ったということであるが、下の写真でも分かるように当初大きな石を運んできて下ろしたり土掘りと力のいる作業ばかりで、庭園のイメージを目で確認できない時期は、各個人のやる気がなかなか起こらなくて動きが鈍かったが、庭園のかたちが見えだした10月頃から、俄然皆やる気が出てきたとのことである。

 平成19年1月現在の今が一番作庭が楽しく面白いということだ。卒業するまでに作業時間が少ないが、ここまでやってきたのだから最後まで自分達の手で完成させたいと意気込みを聞かせてくれた。

造園技能検定二級 合格者(竹井梨沙、伊達由美子)の話
 平成18年から高校生でも試験を受験できるようになり見事合格されたということである。造園に対する姿勢がより積極的であるようなので、このバリアフリー庭園については女性の立場から話をうかがった。

 プランについては前述の代表者の話とほぼ同じでありました。施工について、このクラスは女子生徒(14名)が多く男子生徒(8名)が少ないようですが作業に支障がありましたかという問いに、役割分担として力がいる作業は男子生徒が自然としてくれるかたちとなったということだ。

 また、女子生徒3人に男子生徒1人というように、男子が分散して作業にあたりともに助け合いながら作業の効率をはかったとのこと。インターロッキングブロックをはり出してからは、がぜん皆の頑張りが見えてきたとのこと。

 あと少しでインターロッキングブロックをはり終えるところまできているせいか、答えてくれる二人の声に明るさと心の余裕を感じた。

 概要と感想 

 1月23日に訪問した時には、インターロッキングブロックが広場・通路のスペースに半分強ほど敷き詰められていました。授業としての作業時間はあまりないようなのですが、生徒さん達がイメージするバリアフリー庭園のかたちが見えて来て、後は残りのスペースにインターロッキングブロックを敷き詰めて、ふるいに通した砂をインターロッキングブロックの隙間にまきローラーで押さえるなどの仕上げが残っているとのことです。

 左上写真Iはレベル出しに合わせてインターロッキングブロックを敷き詰めて行っているところであります。中央上写真Jは、澁谷教授が生徒さんにアドバイスしているところであります。

 中央上写真Kは、赤い水糸にブロックを合わせて敷き詰めているところです。右上写真Lは、スイカズラの鉢であります。

 ブロックを左下写真Mの「カッター」クラックで切断し、中央下写真Nのグラインダーで中央下写真Oの境目の処理をするためより細かい納まりに対応できるようにしています。右下写真Pは、石畳とブロックとの境目の処理をしているところです。

 生徒さん達の動きが活気に満ちておりました。卒業するまでに、何とか仕上げて完成させたいという気持ちが作業する動きに現れていました。

 スイカズラ(金銀花)は、まわりの木などに絡み付いてよく延びるようです。また、冬にも葉が落ちないことから忍冬(ニンドウ)の名もあるようです。この花を右上写真Lのように、パーゴラの支柱のそばに置いた二つの鉢に植え、やがてパーゴラの上端部一面を覆い尽くし、夏のきつい陽ざしを遮ってくれて休憩の場となる予定です。

 また、庭園のかたちが見えてくるまで耐え忍んで作業をしてきたことで、現在のような庭園のかたちが見えてきたことから、この「忍」の字がつく忍冬を選んだと聞いております。何事も耐え忍ばなければならない時期というものがあるということで、このスイカズラを選んだと聞きました。

M、「カッター」クラック N、グラインダーでの切断 O、境目の納まり P、境目の処理

平成18年 12月 6日 撮影 

Q、全景 R、土の通路 S、パーゴラ T、奥の通路

 概要と感想

 大きな石も大方配置され、庭園の中央にパーゴラを設置、庭園正面入口から家屋への入口までの通路スペースも確保されて、後は通路にインターロッキングブロックを敷き詰めて行くというように、大まかな作業が終わりに近づいたことが分かります。

 この日、通路の幅とパーゴラの周りのスペースを拝見して、入口辺りからパーゴラまでの通路幅は、車いす同士がすれちがうことができる幅があり、中央上写真Sのようにパーゴラの下がちょっとした広場になっております。

 右上写真Tで分るように奥が少し高くなっておりますが、スロープにして上がれる予定にしているようです。

 

平成18年 10月 10日 撮影 

U、石畳と通路スペース V、石畳と日本家屋の西入口 W、日本庭園

 概要と感想

 左上写真Uで分るように、入口周辺に石が敷き詰められ石畳と分かるぐらいになりました。中央上写真Vの土の部分はインターロッキングを敷き詰め車いすが走行できるようにする予定です。

 中央上写真Vの右側に入口が見えますが、右上写真Wの日本家屋(日本庭園を含む)に繋ぐために入口までインターロッキングブロックにする予定になっています。但し、日本家屋やその敷地内(日本庭園)についてのアクセスは、次年度以降の生徒さん達にバトンタッチということになりそうです。

 

平成18年 6月 16日 撮影 

X、石の積み下ろし作業 Y、バックホーでの土堀 Z、敷石作業 A’、作業中の石畳の様子

 概要と感想

 国際蘭展「蘭おかやま 2006」が終わって、下写真B’、C’で分かるように盆栽置き場であるこの場所を、その用途を残しながらバリアフリー庭園にしようと作業しているところです。

 バリアフリー庭園の作業に入るが、左上写真Xで分るように、当初大きな石を石置き場からトラックにのせて、この場所で下ろす作業ばかりと手間と力のいる作業をしております。

 中央上写真Yのようにバックホーで土を掘り、中央上写真Zのように、トラックより下ろした石を形が組み合うように、右上写真A’のように石を並べていくのであるが、なかなか庭園のかたちが見えてこないので精神的な踏ん張りを必要とした時期であったようだ。

 

平成18年 2月 18日 撮影 

B’、盆栽置場全景 C’、盆栽置場入口

 概要と感想

 平成18年度のバリアフリー庭園の場所は、上写真の「盆栽置場」だったところであります。樹木や盆栽の移動から始めなければなりません。

 平成19年 2月上旬 現在

 

平成15年度「四季を彩る庭」  / 平成16年度「流れのある庭」 / 平成17年度の「バリアフリー展望台「友集の丘(ゆうしゅうのおか)」

平成18年度「和楽(からく)の庭」 / 平成19年度「見本庭園のバリアフリー化」 / 平成20年度「干拓地の生き物を知る

平成21年度「万葉の小径(まんようのこみち)」 / 平成22年度「まくあいのこかげ」 / 平成23年度「50周年記念庭園のバリアフリー化

平成24年度「50周年記念庭園のバリアフリー化パート2」 / 平成25年度「LINK〜時を刻む〜」 / 平成26年度「香楽園(こうらくえん)」 

平成27年度「鳥達の集う滝」「クジラの庭のスロープ」

日本における住環境の現状 / 福祉住環境コーディネーター / 住環境の整備について

介護保険制度と住生活との関係 / 町角のバリアフリーの意識 / 住環境についての質問コーナー