ドイツ紀行 その2

 リフトはドイツ博物館や美術館でも見ました。ミュンヘンの街を歩いていて道路を渡ろうとしましたが歩道が途切れていました。地下歩道に降りるのに階段とエスカレーターしか見当たりません。すると歩行者が寄って来てエレベーターの位置を教えてくれました。後から設置されたのか少し離れた所に有りました。乳母車は慣れた手つきでエスカレーターを利用しています。
 又こんなこともありました。長女に連れられてシテイヒルトン近くの地下に有るスーパーに行きました。買物を済ませた後、興味につられて他の出口から戻ろうと進むと、最後の所に 30cm位の段差が有り戸惑っていると、いつの間にか人が集まって来て手を貸してくれました。

 ミュンヘンからフランクフルトに飛行機で戻り、予約してあったマリオットホテルに 2泊しました。トイレと洗面所とバスがシステムにセットされてましたが、入口の幅は車椅子でどうにか入れましたが入口の扉を閉めるのに苦労するくらいの狭さでした。勿論転回出来ずトイレには後から取り付けた様な使い難い手摺がありました。ホテルを予約する時、洗面所の構造や広さまで確認すべきだと思いました。
 マイン河には歩行者用の吊り橋が掛かっていて、自転車や乳母車や足の弱い人や車椅子用のリフトが設けられていました。

 フランクフルトから空港までは、一般のタクシーを利用しましたが、運転手は陽気なトルコ人で黙って運転する人が多い中色々と話し掛けてくれました。両手でがっちりとハンドルを握ってアウトバーンを走っている様子を見て、ドイツ人は運転姿勢が固いと笑うのです。又オートバイタクシーが3台纏まって走るのを見て、指を指して笑っています。フランクフルト空港には障害者や足の弱った人用のルフトハンザ航空の待合室があり、連絡するとそこまで電動カーで運んでくれます。この待合室から移動する事なくチェックインが出来搭乗時間になると職員が飛行機まで連れて行ってくれます。一般客は入らず静かに快適に待つ事が出来ます。帰りは飛行機の出発が2時間遅れました。 JRの予約をしておいたので間に合わなかった時の対応を全日空の職員に依頼しました。

 帰りはあっという間に成田に着きました。成田では準備万端整いて待っていてくれましたが、予定の電車には間に合わず全日空側で指定券の取り直しと変更手続きにより順調に福島に戻れました。
 私の最寄り駅は東京から戻る時は跨線橋を渡って外に出ます。そんな時通りがかりの女子高校生がよく手助けしてくれます。私達の町はそんなところです。   

旅の反省
1.ホテル選び
 車椅子対応のホテルと言っても基準が明確で無いために、当たり外れが多い事です。これは情報を提供する旅行会社にも言えることで一派一絡げに考えていることにも問題が有り現地の出先機関を使って調べる事が出来る筈です。利用者も必要とする部屋の条件を明確にして、一つ一つ念を押すべきだと思いました。
2.飛行機の遅れ
 長距離路線ほどおくれる可能性が高く最初から考慮に入れておいた方が良いようです。ヨーロッパ線はこれで2往復になりますが4行程の内3回遅れました。
3.飛行機内のトイレ
 車椅子のまま利用出来るのか明確にして対応をハッキリさせ出発すべきだと思いました。今回は車椅子のまま入れずトイレが使えない事を想定し準備して行きましたが最も不安でした。今回相談した中でアビリティズ社はノウハウを持っていました。
4.電圧の違いによる事故
 ドイツは電源プラグの形状と電圧が違うために、電源プラグにアダプターを取り付けトランスを使って220から100ボルトに下げて電動車椅子の充電器を使う事になります。トランスの電源プラグにアダプタープラグを取り付け外せ無いようにし必ずトランスを挟まないと使いないように工夫して事故を防止すべきだと思いました。洗面所のコンセントは20ワット位の容量しか無く放電は出来るが充電出来ません。 

感想
1.日本の航空会社やJR東日本のサービス
 きめ細かくドイツにひけをとっていないと思いました。
2.電動車椅子の有り難さ
 全介助を必要とする車椅子の方は、息を抜く暇の無い介助者と思うように動けない介助を受ける者双方に不満が残ってしまいます。介助者も折角外国に来たので自分の時間を持ちたいと考えるのが当然です。電動車椅子持参が最低条件だと思いました。
3.充電用の電源タップは有るか
 電動車椅子用のバッテリーが街中で無くなってしまった時、充電用の電源タップはトイレの中や列車の中で沢山見かけ心配なさそうでした。盗電になりますので勿論許可は必要だと思います。
4.トラベラーズチェックの便利さ
 ドイツマルクのものを持って行きましたが、現金代りに使えて大変便利でした。サインはパスポートに合わせた方が良いようです。鉄道の切符購入には使えず手数料を払って銀行で両替えしました。
5.ホテルはバスかシャワー付か
 縁が高いなどで使えない可能性が有るバスよりも、スペースに有利なシャワー付の部屋の方が良いように思いました。
6.電話とテレホンカード
 リコンファームをするのにコイン電話を使いましたが、直にコインが無くなり慌てました。事情の知らない土地では、テレホンカードを購入した方が安心のようです。
7.格安航空券と旅行保険
 一般に格安航空券は往復の日日と搭乗機が指定されていて変更出来ません。不安な場合は日程を変更してもカバーされるよう旅行保険を利用した方がよいと思います。  

旅行日程
JTB新きまま旅で航空券、初日ホテルまでの送迎、ホテルの予約の手配を依頼
6月12日福島発成田泊
6月13日成田発フランクフルト経由ミュンヘン着
6月16日ミュンヘン・ゲッピンゲン間鉄道で往復
6月17日夜までミュンヘン・シテイヒルトン泊
6月18日ミュンヘンからフランクフルトへ飛行機で移動
6月19日夜までフランクフルト・マリオットホテル泊
6月20日フランクフルト発
6月21日成田着   

主な携行品
電動車椅子ヤマハJW-IB
電圧変換器
電源プラグアダプター
浣腸・下剤・抗生物質(英語名のラベル付)
装着式採尿器(アビリティズのユニボン)
英語版の診断書  

以上井の中の蛙の感じた事を記述しました異論の有る方の意見を待っています。

五十嵐 節「ingar@coral.ocn.ne.jp」  

 

平成11年7月5日  五十嵐 節 

「ドイツ紀行 その2」について 

 早々とつづきの紀行文を送っていただき有難うございます。また、個別での「旅の反省」・「感想」などを加えていただいて、これから旅行しようとしている方々にとってとても参考になると思います。「主な携行品」なども、身障者にとってとても重要なことなので参考になります。

 また、旅行で見知らぬ土地に行きますと、道に迷ったり障害物にぶつかったりと予期せぬことが起こるものですが、そうしたときに周りの人々の親切や温かさに触れたりします。私の体験からもそんな時、この地を旅して本当に良かったと感じるものです。それが日本から遠く離れた文化も言葉も違うドイツならなお更より一層深く感じられたことでしょう。
 それから、旅をするときに自分だけでなく同伴者がいる場合に、相手のことを思いやりお互いに旅を楽しく過ごせるように配慮しておられたご様子。とても重要なことだと感じました。

 ドイツ旅行での感想といろいろなアドバイスを書いてくださり、本当に有難うございました。 

 「ドイツ紀行 その2」も、五十嵐氏からの要点のみのメールをまとめたもので、掲載については氏の承諾を頂いております。  

 五十嵐氏へ直接メールを送りたい方はこちらへ。五十嵐 節「ingar@coral.ocn.ne.jp」

by sennin 

ドイツ紀行 その1

 

その他に戻る>